夢を形に大きく羽ばたく

「夢追い人」の挑戦

高校生小論文コンクールで「大志」をつづり、その夢を実現して医師、理学療法士、臨床検査技師になった3人が、夢を形にした歩みや現在の高校生たちへのメッセージ、これからの挑戦などを語り合いました。夢追い人3人の鼎談(ていだん)には、生涯学習振興財団の冲永佳史理事長(帝京大学理事長・学長)が加わりエールを送りました。

TALK MEMBERS

受賞者新春トークメンバー

夢追い人
宇野 裕美香さん(27)

第17回優秀賞受賞。福岡県立修猷館高校から熊本大学医学部卒、小児科医。現在は福岡市の病院勤務。

夢追い人
佐竹 真依さん(26)

第18回最優秀賞受賞。山口県立山口高校通信制から小倉リハビリテーション学院卒、理学療法士。東京・江東リハビリテーション病院勤務。

夢追い人
茅原 花野子さん(24)

第20回優良賞受賞。私立鎌倉女学院高校から東京医科歯科大学(現 東京科学大学)医学部保健衛生学科卒、臨床検査技師。現在は大学院生。

理事長
冲永 佳史氏

公益財団法人 生涯学習振興財団

司会・進行
伊藤 美佳氏

株式会社セレンディピティ 代表取締役

Interview01

つづった夢を実現小児科医、理学療法士、臨床検査技師に

Q1.夢を実現して活躍される皆さん、おめでとうございます。
まず、皆さんが小論文につづった夢とそのきっかけになったことなどをお聞かせください。

宇野:医師になる夢を持ったきっかけは、7歳下の妹がまだ幼い頃、アレルギー疾患で入退院を繰り返したことでした。苦しんでいる妹の姿をただ傍で見守ることしかできない自分がとても情けなかった。その悔しい思いをバネに医師を志し、受験まであとわずかという高3の9月に自分と真摯に向き合って、自分の夢に向けての志を綴ったのが、「こころをつなぐ医療~幸せのために~」です。文字にすることで思いはさらに強くなり、夢に突き進むモチベーションになりました。

佐竹:私は三つ子として生まれ、姉と兄がいます。兄は先天性の脳性麻痺を患い、歩くことができず車いすでの生活を送っています。この兄の姿を見てきて、兄をはじめ理学療法を必要とするたくさんの人の支えになりたいという思いを強くしました。そして、決意を固めるべく小論文「『理学療法士を目指す』~脳性麻痺の兄のためにも~」を一気に書き上げました。書き終えたときに感じたのは「私ってこんなに兄のことを考えていたんだ。やっぱり理学療法士になりたい!」でした。

茅原:私の受賞作品「カナダで芽生えた私の哲学」は、高校1年生のときのカナダ研修を通して芽生えた「社会に貢献できる人間になる」という思いをつづりました。そしてコロナ禍などもあって感染症や医療への関心が高まり、手先が器用で地道に物事に取り組む自分に合っていると思う臨床検査技師の道を選びました。大学の検査技術学専攻に進み、壁にぶち当たることもありましたが、小論文で誓った決意を新たにして、諦めずに自分の力を出し切れていると思っています。

冲永:小論文コンクールは、日本の将来を担う高校生の皆さんに、心に描いている夢や将来像を言葉にする機会を提供しています。その言葉を〝原動力〟にして、見事に夢を形にされ、さらにキャリアを積み重ねられている皆さんのお話をお聞きし、主催者として改めてうれしく思います。

Interview02

自分の思いと真摯に向き合い人の真の幸せに関わる仕事を

Q2.校時代に夢を描き、その道を豊かに歩まれている皆さん。
現在の高校生へのメッセージや夢を持つ意義、ご自身のさらなる夢などをお伝えください。

佐竹:私は中学生のときの病気がきっかけで、ときには悩み苦しみ挫折することもありましたが、小さい時から「リハビリの人になりたい」という思いを持ち続けて実現しました。高校は通信制で、パン屋さんなどで働きながら学び、大人に囲まれての仕事は貴重な体験になり、身についたコミュニケーション力は現在の仕事でも生かされています。
高校生の皆さんには、自分の夢を描き、それを目指してひたむきに頑張ってほしいと思います。何年かあとに振り返ったとき、それまでの道のりは決して無駄にはならず、未来に向けての自分自身の大切な糧になります。

茅原:私は英語力を磨く一方で、カナダ研修のほか、中学3年のときに「世界こどもエコサミット」、大学ではタイの大学での研修にも参加し、海外の人との交流を深めています。また、国家資格である臨床検査技師の資格を取得し、大学院ではまだ治療薬が開発されていないEBウイルス(エプスタイン・バールウイルス)の研究にも関わっています。予防医学にも関心があり、豊かな教養と専門知識を深めて、保健医療の進展に寄与する人材になりたいと思っています。
高校生の皆さんへのメッセージは、興味あることは何でもトライして、失敗を恐れずにいろんな経験を積んでほしいということです。広い世界を見渡せば、どこかに自分と思いを共有できる人がいます。焦らずに様々な視野を養って、己を知り、己に勝ち、自分ならではの夢を見つけて進んでいってください。

宇野:私は受賞作品を〝決意表明〟として、今でもすぐに読めるところに置き、壁にぶつかりそうになった時には読み返して、「患者さんの心に寄り添う医師になる」という決意を新たにしています。AI(人工知能)や手術支援口ボットの登場など日々変革する医療現場で、命をつなぐだけでなく心をつなぎ、人の真の幸せを実現する一助になりたいと日々精進しています。
高校生の皆さんには、ぜひ今の夢を言語化して、自分が志す道でイキイキと活躍する自分を現実のようにイメージしてほしいです。そして周囲への感謝を忘れず日々少しずつ努力して、いつの日かきっと夢を叶えて欲しいと思います。

冲永:自分の思いと真摯に向き合い、社会や人のために貢献する仕事に就き、さらに発展を目指して確かな歩みを続ける皆さんのご活躍は、後につづく高校生らの大きな励みになります。21世紀の日本には、少子高齢化・人口減少などで、解決すべき社会課題がたくさんあります。夢追い人の皆さんには、ご自身の可能性を信じてますます大きく羽ばたかれるようエールを送ります。